特別養護老人ホームへの入居を検討するにあたり、毎月どれくらいの費用がかかるのかを整理する段階にあります。ここでは、費用の全体像と内訳を確認します。
この記事でわかること:
- 特別養護老人ホームの月額費用の目安
- 居住費・食費・介護サービス費などの内訳
- 所得に応じた負担軽減の仕組み
- 入居時にかかる初期費用
特別養護老人ホームの月額費用はいくらかかるか
要介護度別の月額費用の目安
特別養護老人ホーム(特養)の月額費用は、ご本人の要介護度や所得、選択する居室タイプによって変動します。月額費用の構成要素は、介護保険が適用される「介護サービス費」と、保険適用外の「居住費」「食費」「日常生活費」の大きく4つに分かれます。
自宅で介護サービスを利用する場合とは異なり、特別養護老人ホームでは支給限度基準額の枠組みは適用されません。2026年8月時点の制度において、施設サービス費として1日あたりの単位数が要介護度別に直接設定されています。要介護度が高くなるほど必要な介護の手間が増えるため、介護サービス費の自己負担額も高くなる仕組みです。
要介護3から要介護5の方が主な入居対象となります。要介護度別の具体的な月額費用の目安は、入居する施設の種類や加算状況によって異なります(監修時確認)。所得による軽減措置が適用されない場合、全体での月額負担は一般的に10万円前後から15万円程度が目安となります(監修時確認)。
居室タイプによる費用の違い
特別養護老人ホームの居室には、主に「ユニット型個室」「従来型個室」「多床室(相部屋)」の3つのタイプが存在します。どのタイプの居室を選ぶかによって、毎月支払う「居住費」の金額が大きく変わります。
ユニット型個室は、10名程度の少人数グループを単位として、個室のほかに専用の共有スペースが配置された形式です。プライバシーが確保されやすい一方で、居住費の設定は他のタイプに比べて高く設定されています。
多床室は、主に2人から4人で1つの部屋を共有する昔ながらのタイプです。居住費が低く抑えられているため、毎月の負担を軽減したい場合の選択肢となります。施設の建て替えや新設にともないユニット型が増加傾向にありますが、ご本人の希望や家計の予算に合わせて選択することが重要です。
月額費用の内訳はどうなっているか
介護サービス費と自己負担割合
毎月の支払いの核となる「介護サービス費」は、国が定める施設サービス費の自己負担分です。介護保険制度に基づき、ご本人の所得に応じて1割、2割、または3割を本人が負担します。
介護負担割合証に記載されている割合に従って計算されます。前年度の合計所得金額や世帯の課税状況によって毎年見直しが行われます。
さらに、施設ごとの体制やサービス内容に応じて「加算」が発生します。たとえば、配置されている看護師の人数、栄養管理の体制、認知症ケアの取組状況などに応じて単位数が加算され、自己負担額に反映されます。
居住費と食費の基準費用額
居住費と食費は原則として全額が自己負担となります。国は施設ごとの極端な価格差を防ぐため、基準となる金額として「基準費用額」を設定しています。2026年8月時点における1日あたりの基準費用額は以下のとおりです。
| 項目 | 基準費用額(1日あたり) |
|---|---|
| 食費 | 1,545円 |
| 居住費(ユニット型個室) | 2,006円 |
| 居住費(従来型個室) | 概ね約1,15万円〜 |
| 居住費(多床室) | 915円 |
実際の費用は施設や地域によって異なる場合があります。また、契約時には日額を月換算(30日分または31日分)して請求される点に留意してください。詳細な設定金額についてはお住まいの自治体や各施設へ確認が必要です。
日常生活費として自己負担になるもの
施設で生活を送るにあたり、介護サービス費や居住費・食費とは別に「日常生活費」が実費として必要になります。施設が用意する共通の設備やサービス以外の個人利用分がこれに該当します。
代表的な項目として、訪問理美容代、電気代(個室でテレビなどの電化製品を持ち込む場合)、日用品費(歯ブラシや特定の衛生用品等)があります。また、病院への通院同行費用や処方薬の費用も別途自己負担となります。
施設によっては、日用品や洗濯代を月額定額のセット契約として提供している場合もあります。何が基本料金に含まれ、何が別途実費になるかは施設ごとに定められているため、入居前の契約内容の確認が必要です。
所得によって負担が軽くなる制度はあるか
負担限度額認定制度の対象要件
所得が一定以下の世帯に対しては、食費と居住費の負担を軽減する「特定入所者介護サービス費(負担限度額認定制度)」が用意されています。食費や居住費の支払いが困難で施設入所を諦めることがないよう設けられた公的な制度です。
対象となる要件は、世帯全員(別世帯の配偶者を含む)が住民税非課税であることです。あわせて、ご本人および配偶者の預貯金や有価証券などの資産額が一定基準以下である必要があります。
制度を利用するためには、ご自身でお住まいの市区町村へ「介護保険負担限度額認定申請」を行う必要があります。申請を行わないと自動的には適用されないため、入居手続きと併行して申請作業を進めることが求められます。
所得区分ごとの食費・居住費の日額上限
負担限度額認定制度では、所得や資産の状況に応じて段階が分けられています。2026年8月時点における区分ごとの1日あたりの負担上限額は以下の表のとおりです。
| 所得区分 | 居住費(多床室)上限 | 食費上限(1日あたり) |
|---|---|---|
| 第1段階(生活保護受給者・老齢福祉年金受給者等) | 0円 | 300円 |
| 第2段階(年金収入等82万6,500円以下) | (監修時確認) | 390円 |
| 第3段階①(年金収入等82万6,500円超〜120万円以下) | (監修時確認) | 650円 ※ |
| 第3段階②(年金収入等120万円超) | (監修時確認) | 1,360円 ※ |
※第3段階①の食費は改定により680円、第3段階②の食費は改定により1,420円とする自治体通知等があります。
表に記載された上限額を超える分については、介護保険から補填(特定入所者介護サービス費として支給)されます。ご本人がどの区分に該当するかは、課税証明書や預貯金通帳等の確認を経て自治体が判断します。基準の境界線や細かな算出方法は自治体によって異なる部分があるため、事前に窓口で照会してください。
入居する時にまとまった初期費用は必要か
入居一時金がかからない理由
民間の有料老人ホームなどでは、入居時に数千万円単位の「入居一時金」や「権利金」が必要になるケースがあります。一方で、公的施設である特別養護老人ホームでは、こうした入居一時金は原則として不要です。
特別養護老人ホームは社会福祉法人や自治体などが運営する営利を目的としない施設であるため、入居の権利を得るための頭金を設定していません。契約時の敷金や保証金に関しても、多くの施設で不要とされています。
初期費用として大きな入居一時金を支払う必要がないため、まとまった資産が手元にない場合でも入居の検討が可能です。月々の年金収入や貯蓄から毎月の支払いを継続できるかが資金計画の基準となります。
準備しておきたい当面の生活費と医療費
入居一時金は不要ですが、入居にあたって完全なゼロ円でスタートできるわけではありません。生活の拠点を施設へ移すための初期費用(準備金)が必要です。
具体的には、施設で着用する衣類、履物、洗面用具、寝具類(レンタルではない場合)の購入費がかかります。また、ご本人が愛用していた家具やテレビなどを持ち込む場合の運搬費用も想定しておく必要があります。
入居初期は環境の変化に伴い医療機関への受診が増える場合もあります。受診代や処方薬代、医療機関への移動費など、当面の医療・衛生関連の現金支出として数万円程度を手元に準備しておくと安心です。
費用の見積もりと入居に向けた次のステップ
施設への確認事項と見積もりの依頼先
資金計画を明確にするためには、入居を検討している実際の施設から概算の見積もりを取得します。入居申込の窓口や施設内に配置されている「生活相談員」が問い合わせ先となります。
見積もりを依頼する際は、ご本人の現在の要介護度と「介護保険負担割合証」の区分を伝えます。また、負担限度額認定を受けられる見込みがあるかどうかもあわせて相談内容に含めます。
施設側からは、介護サービス費の加算項目や、その施設で発生する実費(理美容費や日用品代の平均額)を含めた具体的な月額試算が提示されます。部屋の空き状況と併せて確認することで、より現実的な毎月の収支バランスが把握できます。
ケアマネジャーや相談窓口への連絡手順
費用の計算と並行して、具体的な入居申し込みの手続きを進めます。まずはご本人のケアプランを作成している担当のケアマネジャーへ、特別養護老人ホームへの入居をご希望の旨を伝えます。
要介護認定をまだ受けていない場合や居宅介護支援を利用していない場合は、お住まいの地域にある「地域包括支援センター(市区町村が設置する介護の相談窓口)」へ連絡します。施設入所に関する全体の流れや、必要書類の準備について説明を受けられます。
申請に必要な「介護保険負担限度額認定証」の発行手続きについても、地域包括支援センターや役所の介護保険課で案内を得られます。手続きにおける提出書類への押印は原則不要となっている自治体が増えていますが、本人確認書類などの持ち物についてはお住まいの自治体で確認してください。
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参考
- kaigokensaku.mhlw.go.jp (2026-08-03 03:01 確認)
- care-news.jp (2026-08-03 03:01 確認)
- wam.go.jp (2026-08-03 03:01 確認)
- pro-sup.com (2026-08-03 03:01 確認)
- sonylife.co.jp (URLは監修時確認)
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- kaigo-wel.city.nagoya.jp (2026-08-03 03:01 確認)
- ohchijim.com (2026-08-03 03:01 確認)
- kaigo.city.edogawa.tokyo.jp (2026-08-03 03:01 確認)
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- city.asakuchi.lg.jp (2026-08-03 03:01 確認)
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- fr-kenpo.or.jp (2026-08-03 03:01 確認)
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- city.kobe.lg.jp (2026-08-03 03:01 確認)
- yurokyo.or.jp (2026-08-03 03:01 確認)
- behavior.co.jp (2026-08-03 03:01 確認)


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