親御さんの住まいとして住宅型有料老人ホームを検討するにあたり、自立した状態から要介護状態まで入居できるのか確認したい段階です。施設ごとの入居条件や将来の変化への備えを知ることで、見通しを持って住まい選びを進められます。
この記事でわかること:
- 自立・要支援・要介護の各段階で入居できる施設の特徴
- 40〜64歳の方が利用する場合の特定疾病の要件
- 看取りや医療行為が必要になった場合の対応
- 入居後に状態が変化したときの選択肢
住宅型有料老人ホームは自立から要介護まで入居できるのか
住宅型有料老人ホームの受け入れ体制は、施設によって大きく異なります。入居時の身体状況だけでなく、将来介護が必要になった際の方針も確かめることが欠かせません。

自立や要支援の段階で受け入れている施設
住宅型有料老人ホームは、施設ごとに入居対象者の傾向が分かれています。厚生労働省の調査(2026年8月時点)によると、事業所の受け入れ方針の割合は以下の通りです。
| 受け入れ方針 | 割合 |
|---|---|
| 自立、軽度者を中心に、要介護者も受け入れ | 34.4% |
| 要介護者・要支援者等を幅広く受け入れ | 34.1% |
| 中重度・難病者等を中心に受け入れ | 29.9% |
| 自立者・軽度者のみなど | 1.6% |
全体の約34.4%の施設が、自立や軽度者を中心に受け入れています。ご自身で身の回りのことができるうちに入居し、生活習慣を維持しながら暮らすことが可能です。
一方で、自立者のみを対象とした施設は1.6%にとどまります。多くの施設では、将来的に介護が必要になった場合でも住み続けられる体制を整えています。ご本人の現在の身体状況と、将来への希望に合わせて施設を選択できます。
要介護度が高くなった場合の退去リスク
住宅型有料老人ホームに入居後、要介護度が上がった場合でも直ちに退去となるわけではありません。厚生労働省の調査(2026年8月時点)では、住宅型有料老人ホームにおいて平均要介護度が3以上の入居者が占める割合は46.1%となっています。
ただし、介護度が重度化した際に退去を求められるケースも存在します。住宅型有料老人ホームでは、介護サービスを外部の訪問介護事業所などと個別に契約して利用します。そのため、24時間の常時介護や重度の医療ケアが必要になった際、施設側の受入態勢により対応しきれなくなる場合があります。
入居契約を結ぶ前に、どこまでの介護度に対応可能かを契約書や重要事項説明書で閲覧することが推奨されます。特に認知症の進行や夜間の排泄介助が必要になった際の具体的な対応基準を聞いておきます。
入居時の年齢制限と40代から64歳までの条件
住宅型有料老人ホームの入居にあたっては、年齢による条件が定められています。ご本人の年齢や介護保険の区分に応じた要件を把握しましょう。
原則として65歳以上の高齢者が対象

住宅型有料老人ホームの原則的な入居対象年齢は、60歳以上または65歳以上とされています(2026年8月時点)。法令による全国一律の厳格な年齢制限規定はありません。しかし、介護保険の第1号被保険者となる65歳以上を基準とする施設が多数を占めます。
施設によっては、概ね60歳以上から入居を受け付けている場合もあります。夫婦での入居を検討する際、一方が年齢要件を満たしていれば同居を認められる規定を設けているところもあります。
入居条件は施設ごとに設定されています。ご本人の現在の年齢が入居対象に含まれるかをあらかじめ事業者に問い合せます。
第2号被保険者の特定疾病による条件
40歳から64歳までの方は、介護保険の第2号被保険者に該当します。40歳から64歳までの方は、特定疾病(末期がん、関節リウマチなど16種類)が原因で介護が必要になった場合に限り対象です。その際は医療保険証が必要です。
介護保険制度(2026年8月時点)において定められている16種類の特定疾病は以下の通りです。
- がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがないと判断したもの)
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
- 後縦靱帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病(パーキンソン病関連疾患)
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
- 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
単に加齢に伴う体力の低下や、特定疾病以外の疾患による障害では介護保険サービスを利用した入居が認められません。主治医の診断書を用意し、市区町村で要介護認定の手続きを行います。
医療行為や看取りへの対応は施設ごとにどう違うのか
持病や将来の医療依存度に応じた対応体制は、施設ごとに大きく異なります。入居後の生活を継続するために、医療面の受け入れ基準を精査します。
インスリンや胃ろうなど医療ケアの受け入れ基準
住宅型有料老人ホームでは、看護師の配置基準が介護付き有料老人ホームとは異なります。そのため、インスリン注射や胃ろう、痰の吸入といった医療処置が必要な場合の受け入れ条件は施設によって分かれます。
日中のみ看護師が常駐する施設では、決まった時間に行う処置(昼食前のインスリン注射など)に対応できる場合があります。しかし、夜間の吸入や経管栄養の管理が必要な場合、夜間看護体制がない施設では対応が困難です。
外部の訪問看護ステーションと連携して24時間の対応を行う施設もあります。ご本人が現在受けている医療処置や、将来発生し得る医療ケアへの対応可否を担当者に提示して確認します。
看取り対応を行っている施設の探し方
終末期をホームで過ごす「看取り」に対応できる住宅型有料老人ホームも存在します。看取りを実施するためには、地域の医療機関や訪問看護ステーションとの密接な連携体制が不可欠です。
看取り対応が可能な施設を探す際は、過去の看取り実績や訪問診療を行う医師の訪問頻度を尋ねます。また、急変時の搬送方針やご家族への連絡体制についても具体的に詰めておきます。
最期までその施設で過ごしたいというご本人の意思がある場合は、入居前の段階で「看取り介護加算」の取得状況や看取りに関する規約の有無を確認します。
入居後に要介護度が上がったときはどうなるのか
身体状態の変化に伴い必要となる介護サービスや費用は変動します。サービス追加の仕組みと住み替えの選択肢を理解しておきましょう。
外部の介護サービスを追加する仕組み

住宅型有料老人ホームでは、要介護度が上がった場合、外部の介護サービス(訪問介護やデイサービスなど)を追加で契約して利用します。介護保険を適用して利用できるサービスには、介護度ごとに月額支給限度基準額が定められています(2026年8月時点)。
| 要介護度区分 | 月額支給限度基準額(1単位10円の場合の目安) |
|---|---|
| 要支援1 | 5,032単位(50,320円相当) |
| 要支援2 | 10,531単位(105,310円相当) |
| 要介護1 | 16,765単位(167,650円相当) |
| 要介護2 | 19,705単位(197,050円相当) |
| 要介護3 | 27,048単位(270,480円相当) |
| 要介護4 | 30,938単位(309,380円相当) |
| 要介護5 | 36,217単位(362,170円相当) |
※地域により地域加算が上乗せされます。
支給限度額の範囲内であれば、自己負担割合(1〜3割)に応じた費用でサービスを利用できます。しかし、限度額を超えるサービスを利用した場合は、超えた分が全額自己負担となります。介護度が高くなり必要なサービスが増えると、自己負担分が増加する仕組みです。
介護付き有料老人ホームや特別養護老人ホームへの住み替え
外部サービスのみでは日々の生活維持が難しくなった場合、別の施設への住み替えを検討する選択肢があります。
住み替え先としては、24時間体制で介護・看護スタッフが常駐する「介護付き有料老人ホーム」や、公的な施設である「特別養護老人ホーム」が挙げられます。特別養護老人ホームは原則として要介護3以上の認定を受けた方が対象です。
住み替えには費用の再計算や各種手続きが必要となります。最初の施設選びの段階で、将来住み替えが必要になった場合のサポート体制についても窓口で相談しておきます。
希望する条件に合う施設を探すための具体的な手順
ご本人の意思を尊重しつつ条件に合う施設を見つけるには、専門家への相談と計画的な情報収集を行います。

ケアマネジャーや地域包括支援センターへの相談
施設探しを始める際は、まず地域包括支援センター(市区町村が設置する介護の相談窓口)や、担当のケアマネジャーに相談します。ご本人の身体状況や必要な医療ケアの程度を正確に伝えた上で、適した施設種別の助言を得られます。
地域の住宅型有料老人ホームにおける実際の受け入れ状況について、専門的な見地から情報を取得できます。介護保険の申請や要介護認定の見直し手続きについても併せて相談が可能です。
なお、介護保険の各種手続きにおいて、申請書類等への押印・認印は原則不要となっています(押印を求める自治体もあります)。手続きの詳細は、お住まいの自治体で確認してください。
見学時に確認することが推奨される入居条件のチェックリスト
候補となる施設を選定した後は、現地を見学します。見学の際はご本人と一緒に赴き、住環境や設備の使いやすさを確かめます。
見学時に確認する入居条件の項目は以下の通りです。
- ご本人の現在の要介護度や年齢が受け入れ条件に適合しているか
- 将来介護度が上がった場合、どの程度まで継続して入居可能か
- インスリンや吸入など、必要な医療ケアの対応体制があるか
- 夜間の見守り体制および職員の配置状況はどうなっているか
- 提携している医療機関や訪問看護ステーションとの連携内容
- 過去における看取り対応の実績が存在するか
- 外部の介護サービスを利用した際の費用と支給限度額の兼ね合い
これらの項目について施設長や生活相談員に質問し、条件に合致することを確認した上で契約へ進みます。
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参考
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