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認知症の親は特別養護老人ホームに入居できる?条件と費用

認知症の親は特別養護老人ホームに入居できる?条件と費用のイメージ

認知症の進行に伴い、自宅での介護を続けるべきか施設を探すべきか迷う時期です。特別養護老人ホーム(公的な介護老人福祉施設)が認知症の方の受け入れに対応しているか、入居の条件や具体的な費用を整理します。

この記事でわかること:

  • 認知症の方が特別養護老人ホームに入居するための条件
  • 要介護度や施設設備による受け入れの可否
  • 月額費用の目安と負担を抑える仕組み
この手帖の目次

認知症でも特別養護老人ホームに入居できる?

原則として要介護3以上が対象

特別養護老人ホームへの入居は、原則として要介護3以上と定められています(2026年8月時点)。認知症の診断を受けている場合でも、要介護認定で要介護3、要介護4、要介護5のいずれかに判定されていれば、申し込むことが可能です。

認知症でも特別養護老人ホームに入居できるのイメージ

要介護認定は、心身の状態や必要な介護の手間をもとに市区町村が判定します。認知症による生活上の支障が大きくなり、常時介護が必要な状態であれば要介護3以上に判定される傾向があります。なお、40歳から64歳まで(第2号被保険者)の方は、初老期認知症などの特定疾病(末期がん、関節リウマチなど16種類)が原因で要介護認定を受けた場合に限り対象となります。

申し込む際は、要介護度に加えてご本人の認知症の症状や日常生活の状況を施設側に伝えます。施設側は書類審査や面接を行い、総合的に受け入れを判断します。

軽度でも特例で認められるケース

要介護1や要介護2の軽度な状態であっても、やむを得ない事情がある場合は「特例入居」として認められる仕組みがあります(2026年8月時点)。認知症症状によって自立した生活が困難であり、同居家族による支援も期待できない場合などが対象です。

特例入居が考慮される具体的な条件には、認知症による行方不明や危険行動が頻繁に見られる場合が挙げられます。また、家族による深刻な虐待の恐れがある場合や、認知的障害により一人暮らしが著しく困難な場合も該当します。ご本人の安全確保や尊厳を守る観点から判断されます。

特例入居の可否は、市区町村と施設が連携して設置する委員会などで個別に審査されます。要介護1や2で入居を検討したい場合は、まず担当のケアマネジャー(介護支援専門員)へ具体的な状況を相談してください。

どのような認知症の症状でも対応してもらえる?

徘徊やBPSD(行動・心理症状)への対応体制

多くの特別養護老人ホームでは、認知症に伴うBPSD(行動・心理症状)への対応体制が整えられています。BPSDとは、暴言や妄想、徘徊、拒絶といった認知症特有の症状を指します。施設では介護スタッフがご本人の歩んできた歴史や好みを尊重しながらケアを行います。

どのような認知症の症状でも対応してもらえるのイメージ

建物構造の面でも安全配慮がなされています。出入口の施錠管理やエレベーターの制限、見通しの良いフロア設計などにより、ご本人が自由に歩き回っても迷子や怪我をしない工夫が施されています。認知症専門のフロアやユニットを設けている施設もあります。

ただし、他の入居者への身体的攻撃が激しい場合や、夜間の不眠・大声が著しく他の生活を妨げる場合は、すぐに受け入れが難しい場合もあります。ご本人の現在の状態と施設側の対応力を事前にすり合わせることが大切です。

医療行為が必要になった場合の制限

特別養護老人ホームは「生活の場」であり、病院のような高度な医療提供体制は備わっていません。看護師は日中に配置されていますが、夜間はオンコール体制(非常勤呼び出し)をとる施設が多く見られます。そのため、常時医療処置が必要な場合は受け入れが制限されることがあります。

具体的には、インスリン注射の頻回な投与、カテーテル管理、経管栄養(胃ろうなど)、痰の吸引が頻繁に必要な状態などが該当します。認知症の症状に加えて医療依存度が高くなった場合、配置されている看護師の人数や夜間体制によって受入可否の判断が分かれます。

また、認知症が進行して看取りの段階に入った際、施設内で最期まで過ごせるかどうかも施設ごとに異なります。看取り介護加算を取得し、嘱託医と連携して看取る体制があるかを事前に確認しておくと見通しが立ちます。

特別養護老人ホームの費用はどれくらいかかる?

要介護度・居室タイプ別の月額費用の目安

特別養護老人ホームの費用は、介護サービス利用料(自己負担1割〜3割)と、食費・居住費(滞在費)の合計で決まります。居室のタイプには、相部屋である「多床室」、個室タイプの「従来型個室」「ユニット型個室」などがあります。

要介護3以上で自己負担割合が1割の場合における、月額費用の一般的な目安は以下の通りです(2026年8月時点)。

居室タイプ月額費用の目安
多床室(従来型相部屋)約9万〜11万円程度
従来型個室約10万〜14万円程度
ユニット型個室約12万〜18万円程度

居室タイプによって居住費の設定が異なります。個室はプライバシーが保たれやすい反面、多床室よりも毎月の費用が高くなります。ご本人の過ごしやすさと家計のバランスを考慮して居室を選択します。

所得に応じた負担軽減制度の仕組み

収入や資産が一定以下の世帯に対しては、食費と居住費の負担を軽減する「特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)」という制度があります。所得状況に応じて第1段階から第3段階②までに分かれ、1日あたりの支払い上限額が定められています(2026年8月時点)。

食費・居住費の1日あたり負担限度額(2026年8月1日時点)

・第1段階(生活保護受給者等)

  • 食費: 300円
  • 居住費: 多床室 0円 / 従来型個室 0円 / ユニット型個室的多床室 0円 / ユニット型個室 820円または880円

・第2段階(住民税非課税で年金収入等一定以下)

  • 食費: 390円
  • 居住費: 多床室 390円または430円 / 従来型個室 430円 / ユニット型個室的多床室 430円 / ユニット型個室 820円または880円

・第3段階①(住民税非課税で年金収入等82.65万円超〜120万円以下)

  • 食費: 680円
  • 居住費: 多床室 430円 / 従来型個室 430円 / ユニット型個室的多床室 430円 / ユニット型個室 1,310円または1,370円

・第3段階②(住民税非課税で年金収入等120万円超)

  • 食費: 1,420円
  • 居住費: 多床室 530円 / 従来型個室 530円 / ユニット型個室的多床室 430円 / ユニット型個室 1,410円または1,470円

・第4段階(課税世帯・基準費用額)

  • 食費: 1,545円(全額自己負担)

また、1か月間の介護サービス自己負担額が上限を超えた場合に差額が支給される「高額介護サービス費」も適用されます(2026年8月1日時点)。

所得区分世帯の月額上限額
課税所得690万円以上140,100円
課税所得380万円以上690万円未満93,000円
住民税課税世帯(課税所得380万円未満)44,400円
住民税非課税世帯(年金収入等82.65万円超)24,600円
住民税非課税世帯(年金収入等82.65万円以下)15,000円
生活保護受給者等15,000円

制度の適用を受けるには、お住まいの市区町村窓口への申請が必要です。区分の判定は世帯の課税状況や所有する預貯金額によるため、ご自身がどの区分に該当するかはお住まいの自治体で確認してください。

認知症対応が手厚い施設を選ぶための見学の観点

スタッフの認知症ケアに対する理解と対応力

施設見学の際には、働いているスタッフが入居者へどのように接しているかを観察します。認知症の方に対して一方的な指示を出さず、ご本人の話に耳を傾けて言葉を選んでいるかが大切な指標となります。ご本人の誇りや意思を尊重した接遇が行われているかを確認します。

認知症対応が手厚い施設を選ぶための見学の観点のイメージ

また、認知症介護実践者研修などの専門研修を修了したスタッフが在籍しているかも質問してみます。専門知識を持った職員が多く配置されている施設では、BPSDが発生した際も原因を分析し、ご本人の不安を和らげる個別ケアを実施しやすくなります。

日中の様子だけでなく、イベントやサークル活動の有無もたずねます。ご本人の過去の趣味や得意なことを活かせる機会がある施設は、心理的な安定や生活の質の維持につながります。

フロアの安全性と自由度のバランス

認知症の方が安心して過ごすためには、過度な制限がなく安全が確保された環境が求められます。施設見学では、廊下や共有スペースの動線が広く取られているか、つまづきやすい段差が解消されているかを確かめます。

危険を排除するあまり、ご本人の行動を過剰に制限していないかも見極めるポイントです。鍵のかかった部屋に閉じ込めるような対応がないか、車椅子からの立ち上がりを不当に禁じていないかなど、身体拘束ゼロに向けた取り組みを確認します。

あわせて、外の空気に触れられる中庭やバルコニーがあるか、危険のない範囲で自由に散歩ができる環境が整っているかも見ておきます。移動の自由と安全確保のバランスが取れている施設を選ぶことが望ましい形です。

入居に向けて次に何をすればよい?

担当ケアマネジャーへの相談手順

特別養護老人ホームへの入居を検討し始めたら、まずは現在担当しているケアマネジャーに相談を切り出します。現在の自宅での生活状況やご本人の認知症の進行具合、ご家族の介護負担の状況を具体的に伝えます。

入居に向けて次に何をすればよいのイメージ

ケアマネジャーは、地域の施設情報や各施設の空き状況、受け入れの傾向を把握しています。ご本人の状態に適した施設を提案してもらえるほか、入居申込書に必要な「介護情報」などの書類作成も依頼できます。

まだ要介護認定を受けていない場合や担当者がいない場合は、お住まいの市区町村にある「地域包括支援センター(市区町村が設置する介護の相談窓口)」に連絡します。申請手続きの手順からサポートを受けられます。なお、申請書類への押印は原則不要となっています。

複数の施設への申し込みと待機期間の考え方

特別養護老人ホームは、1箇所だけに絞らず複数の施設へ同時に申し込むことが可能です。地域によって申込者の待機状況は異なりますが、複数施設に登録しておくことで入居の機会を広げられます。

入居の順番は先着順ではなく、緊急性や要介護度、ご家族の状況などを点数化した「優先度」によって決定されます。認知症の症状により自宅生活が限界に達している場合や、介護者の高齢化などで共倒れの危険がある場合は、優先度が高く評価される傾向があります。

入居待機の間、自宅での介護を継続するためのショートステイ(短期入所生活介護)やデイサービス(通所介護)の活用についてもケアマネジャーとすり合わせます。定期的にご本人の状態の変化を伝え、申込情報の更新を行っていくことが選択肢を確保する道筋となります。

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参考

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